佐藤葉子先生の論文が、Annals of Nuclear Medicine誌に掲載

2019年11月28日

山梨PET画像診断クリニック 院長 佐藤葉子先生の論文「Comparison of dedicated breast positron emission tomography and whole-body positron emission tomography/computed tomography images: a common phantom study.」が、Annals of Nuclear Medicineに掲載されました。 PubMedを見る

 

【論文解説】

乳房専用PET(マンモPET)は全身用PETに比べて小さな乳癌を見つけることができ、造影乳房MRIと同じくらい乳癌を詳しく見ることができる装置です。
実際の患者さんを対象とした研究で、マンモPETが全身用PETに比べて優れていることはこれまでにも報告されていますが、定量的にどの程度差があるのかを調べた報告はありませんでした。

そこで、一つのファントム(周りの正常な乳腺とその中の乳癌を模して作った人工物)をマンモPETと全身用PETの両方で撮影し、その画像を測定して両装置の物理的指標を比較しました。その結果、マンモPETは全身用PETより背景のノイズが多い(見た目がザラザラしている)ものの、コントラスト(病変と背景の差)が全身用PETに比べて非常に明瞭であることが分かりました。

全身用PETは複数のメーカーから発売されていますが基本的にどれも同じ形をしています。そのため、同じ(共通の)ファントムを撮影することで画質の標準化(どのメーカーの装置でも同じ画質を出せるようにすること)が可能で、そのためのマニュアルも作成されています。しかしマンモPETには現在、全く形の異なる2種類の装置があるため、まだこの標準化が実現していません。今後、マンモPET画像の標準化を目指しており、今回の我々の研究がその一助になると考えています。

佐藤葉子