佐藤葉子先生の論文が、European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging physics誌に掲載

2019年12月06日

山梨PET画像診断クリニック 院長 佐藤葉子先生の論文「Reduction of the fluorine-18-labeled fluorodeoxyglucose dose for clinically dedicated breast positron emission tomography.」が、European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging physics誌に掲載されました。  

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【論文解説】

 乳房専用PET(マンモPET)検査における被ばく低減のために、臨床的に問題のない画質を確保しつつ、どこまで投与する薬剤(18F-FDG)の量を減らせるかを調べました。しかし、いきなり患者さんに少ない量のFDGを投与して試しに撮影をすることは出来ません。
 そこでまず、日常診療で使っている投与量を100%として、6.25%までFDGの量を減らした乳房ファントム(乳癌と周りの正常乳腺を模して作った人工物)を撮影して、画質や定量値を調べました(=真の低投与量画像)。次に、100%量のファントムデータを加工し、人工的に投与量を減らした画像(=疑似低投与量画像)を作り、両者を比較しました。その結果、真・疑似低投与量画像の間に遜色はなく、この画像加工法には問題がないことが確かめられました。
 その次に、この方法を用いて、実際の患者さんのマンモPET画像を加工し、疑似低投与量画像を作り、放射線科診断医がその画質を評価しました。その結果、25%量でも画質は保たれること、また単に乳癌の拾い上げの目的であれば12.5%量まで投与量を減らしても問題がないことが分かりました。
 もともとマンモPETはPET/CTのようにCTが付随していないため、被ばくの少ない検査です。さらに、投与する薬剤を今の1/4~1/8まで減らせれば、より安心して繰り返しの検査が可能になります。特に繰り返し乳房の精査が必要なハイリスクの方にはよい結果であると考えています。
 

佐藤葉子