本杉准教授 著の論文がRadiology 誌に掲載されました

2015年12月15日

本杉准教授 著の論文

An Investigation of Transient Severe Motion Related to Gadoxetic Acid-enhanced MR Imaging

がRadiology 誌に発表されました。 PubMedを見る »

 

【論文解説】

この研究はガドキセト酸(肝特異性Gd造影剤)投与に関連した一過性呼吸困難感についての報告である.ガドキセト酸の有用性は臨床的には明らかであり,日常臨床における小さな肝転移の同定や早期肝細胞癌の診断には欠かせない造影剤である.しかし,近年この造影剤投与に関連して一過性の呼吸困難感が出現することが報告されている.呼吸困難感自体は一過性で自然におさまるが,問題はこれに関連した動脈相の画質劣化(呼吸性のアーチファクト)である.動脈相を撮像するためには造影剤投与直後に20秒ほどの呼吸停止が必要であるが,ガドキセト酸投与例ではこの呼吸停止を失敗してしまう確率が高く,結果として呼吸性のアーチファクトが増えるという.ただ,頻度は日米で大きな違いがあり,患者さんからの訴えの程度にも開きがあるようである(参考文献).この研究では,造影剤投与後の酸素飽和度と呼吸停止の状態をモニターし,動脈相の画質と患者さん本人からの呼吸困難感の訴えを前向きに記録し解析したものである.研究はウィスコンシン大学で行われたが,全く同一の方法で山梨大学の症例も集め,参考として呈示した.(本杉)

参考文献 Motosugi U, MRMS 2015. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25740243