本杉准教授共著の論文がRdiology誌に掲載

2016年10月26日

本杉准教授、共著の論文(Capacity in the Hepatic Arterial Phase: A Multi-Center Randomized Placebo-controlled Trial)が、Radiology誌に掲載されました。  PubMedを見る

 

【論文解説】

米国留学中に行った多施設共同研究(共著の論文)がRadiology誌に掲載されました.
この研究は,米国3施設の共同研究でした.ガドキセト酸(EOBプリモビスト)は肝癌の診断に有用なMR造影剤です.この造影剤は従来の造影剤と異なり肝細胞に取り込まれるという特徴があり(肝特異性造影剤),現在の肝の造影MRIでは各種ガイドラインでも第1選択の造影剤として推奨されています.この造影剤の副作用として最近指摘されているのが,一過性の呼吸困難感です.造影剤投与直後に呼吸困難感が出現し,息を止めることができなくなるというもので,撮像の途中で息を止めることができなくなってしまうときれいな画像を撮像することができないためこの問題は深刻です.ただ,この現象は国内外の報告で頻度に大きく差ががあるなど不可解な点が多く,一部のドクターはこの現象の存在を疑っています.この研究では,この現象が確かであることを正常ボランティアを対象にして intra-individual comparison の手法で明らかにしたものです.対象のボランティアはランダムに,ガドキセト酸造影MRI,別のガドリニウム造影剤(マグネスコープ)を使ったMRI,さらに生食を使った擬似造影MRIのすべてを受けました.造影剤投与直後に出来る限り長く呼吸停止をしてもらったところ,ガドキセト酸投与後の息どめ時間は他の2剤(マグネスコープおよび生食)投与後の息どめ時間よりも有意に短くなりました.この結果から,少なくとも一部の人では,ガドキセト酸投与により息どめ可能時間が短くなってしまうことが示さました.(COI: この研究はゲルベ製薬が研究資金を提供した医師主導型研究です.ゲルベ製薬はマグネスコープの製造・販売を行っています) 

本杉宇太郎