市川新太郎先生の論文が、J Magn Reson Imaging誌に掲載

2018年10月15日

市川新太郎先生の論文「Linear gadolinium-based contrast agent (gadodiamide and gadopentetate dimeglumine)-induced high signal intensity on unenhanced T1 -weighted images in pediatric patients」が、Journal of Magnetic Resonance Imaging 誌に掲載されました。 PubMedを見る

 

【論文解説】

2014年に神田知紀先生(現神戸大学)によって報告されて以来、大ブームが起こった「ガドリニウムの脳内沈着」に関する研究です。MRIの造影剤には線状型と環状型の2種類があり、線状型を複数回投与された既往がある方は小脳歯状核や淡蒼球などにガドリニウムが沈着し、T1強調像で高信号を呈することが知られています。この現象によって症状が発生することは現時点では報告されていませんが、現在では脳内沈着しない(あるいは極微量しかしない)とされている環状型の使用が推奨されています。成人に比してより余命の長い小児に関しては注意深い経過観察が必要な可能性があると考え、この研究では18歳以下の患者さんを対象として後方視的に検討したところ、小児も成人と同様の現象が観察されました。小児例を対象とした先行論文は複数ありますが、日本からの報告はありませんでした。ということでこの論文は、小児例を対象としたガドリニウム脳内沈着の日本初の論文ということになります。

市川新太郎