経皮的椎体形成術

 骨粗鬆症や骨腫瘍による脊髄(背骨)の圧迫骨折(上下につぶれる骨折)はご存知ですね。経皮的椎体形成術とは、圧迫骨折を起こした椎体に針を刺して、椎体内に骨セメントを注入し、骨を強化することで痛みを緩和、除去する治療法です。現在、欧米を中心に普及しており、日本でもこの治療を行う施設が増えてきています。山梨大学医学部放射線科でも、2002年からこの治療法を導入し、椎体の圧迫骨折からの痛みの緩和に役立てています。

第1腰椎の経皮的椎体形成術

第1腰椎の経皮的椎体形成術  椎体の圧迫骨折からくる痛みに対して、現在、保存的な治療が多く選択されています。保存治療は、痛みを薬でコントロールしつつ、骨が自然に強化されるのを待つ治療ですが痛みの消失に時間がかかり、骨折した骨もさらに扁平になり、姿勢が戻らないなどの欠点があります。経皮的椎体形成術は、骨を強化し、すみやかに痛みを緩和する方法です。痛みの多くは数日で緩和されるため、寝ている状態から早く起き上がることが可能となり、筋肉の萎縮を防止することにもなります。

第3腰椎の経皮的椎体形成術

第3腰椎の経皮的椎体形成術  経皮的椎体形成術の方法は、X線透視装置(胃のバリウム検査でお馴じみ?)あるいはCT(コンピュータ断層撮影装置)にうつぶせに寝てもらい、局所麻酔を行って痛みをなくしてから、X線(あるいはCT)で骨と針を見ながら、椎体骨に針を挿入していきます。この針から、骨セメントというどろどろした液体を注入すると、骨セメントは椎体内ですみやかに固まり、骨が強化されます。注入後、多くの患者様は数日で痛みが緩和されます。  経皮的椎体形成術について質問があれば、気軽に山梨大学医学部放射線科 荒木拓次(taraki@yamanashi.ac.jp)までお尋ねください